当記事の注意事項
当記事は私の体験談だったりモデルがいたりします。でもフィクションです。
内容に尾びれ背びれを付け、胸びれ腹びれ尻びれも付けて脚色と改変をし、空想と妄想を重ねており7.2コンテンツまでのネタバレを含んでおりオマージュ要素もあります。
投稿時点で攻略中なので、攻略できるのか私が諦めたり挫折してしまうか現時点ではわかりません。攻略したいと思っていますが、必ずの攻略を約束する記事ではありません。挫折したり、諦めてしまった場合には歯切れは悪くなりますが、その旨は記載しようとは思っています。
また、極7.2コンテンツの攻略に参考になることはたぶん書いてません。
前置きが長くなりすみません。ご理解頂いたうえで、それでも読みたいモノ好きな方だけお付き合いください。あてが外れた方はすみません。

張りぼての箱庭
パッチ7.2が実装されてから、僕はというとそれなりに穏やかな日常を送っていた。
極もレイドも行っていない。刺激的かと聞かれたら肯定はできないものの、それでも春のあたたかな日差しを浴びながら、少し冷たい風に吹かれるような心地いい気分だった。
冒険をする時間が減ってキーボードをたたく時間が増えた。
自分の感性と思考に向き合うことで、少しばかり自分がどういう人間か理解できた気になれたし、のんびりと付かず離れずの距離でFF14を遊べるようになった。
昔のように何かと競うように焦って最新のコンテンツに飛びつくことなく過ごしていられたけれど、それは同時に僕が何かに挑戦して失敗することにビビっている証明でもある。
冒険も戦いもしないで、果たしてエオルゼアを楽しんでいるんだろうかとも考えたけれど、新たにハウジングというコンテンツを見つけたことで、答えのない答え探しを先送りにできていた。

ハウジングに関しても、技術力満載でこだわり抜いてやり込んで、膨大な情熱を注いだハウジングを造るとまでは言えなかった。それでも妥協しながら自分のできる範囲の技術でエオルゼアにかえる場所を自分の手で作れることに満足できていた。そしてハウジングをしていると、例え冒険や戦いから離れてもここがエオルゼアで、家具を設置しては撤去しずらしては戻してをくり返していると時間はあっという間に溶けて、答え探しを先送りにしていることさえ忘れることができた。
エオルゼアに生きている冒険者はどんな所に住んでいるのか。
ハウジングをしていれば浮かぶ当然の問い。
自分ではできないハウジングを見るという選択は容易だった。
実際にハウジングを見学するのは、新しく実装された場所を見にいくワクワク感と一緒に、エオルゼアの世界を自分の五感で楽しめてゆっくりと味わえるような気持ちになれた。
そのハウジングがフレンドのものでも、ふらりと立ち寄ったハウスでも、SNSやPT募集で見かけたものでも、家具や配置、床、壁、照明とライティング、そこには確かな世界があって、そんな世界を勝手に夢想し解釈するのが僕は楽しかったし、拙いながらも自分なりに納得できる言葉を見つけながら表現するのは、少しばかり難しいパズルが解けるようだった。
零式クルーザー級が賑わっているにも関わらず、飛びつくでもなく今までにない遊び方をする。視界がぼやけるような野暮ったさをどこかで感じながらも、同時にそんな状況でもFFを楽しめているという自分に驚きに近い発見もあった。
屋根の上のモラトリアム

コンテンツ申請中、なにをするでもなくFCの庭や屋根を落ちないようにぴょんぴょんと跳ねて周る。何も考えずにリズムだけを刻んで手持無沙汰を埋める。いつの間にか申請中は大体決まってこれをするようになった。
昔から僕は不器用で、何かを達成するには時間を注ぐしかなかった。その理由が分からないままにして立ち止まっていることこそが、そのまま僕の愚かさなんだろう。少し前までは空き時間があればコンテンツ攻略の予習復習か木人を叩いてスキル回しの練習をしていた。それなのにもう週制限も最新の装備もマテリア禁断もギミックの予習復習もスキル回しの練習もしなくなった。いや、必要なくなった。
無意味な時間を無意味なことで埋める、平和な時間の浪費だった。
――その時、耳元で僕の意識を引き戻すように電子音が鳴った。
「こんにちは〜」
そんな空の時間を割るように亀裂が入る。
うづきさんだ。
画面に浮かぶその名前を見た瞬間、僕の指先がわずかに戦闘の記憶を思い出したように強張った。
手を止めてコントローラーを静かに机に置く。
コッツン、という木材をたたく小さな乾いた音が部屋に響いた。
ゆっくりとキーボードに手を伸ばし、画面から目を逸らし、視線をキーボードに落したまま返事をする。たった3文字のローマ字を打つだけなのに随分と時間がかかった気がする。キーボードのボタンの側面には埃がこびり付いて、隙間には手垢だろうか黒いシミのようないくつも汚れが蔓延っていた。
「ちあ」
いつも通りではあるが、Tellの挨拶にしてはすこしぶっきらぼうだったかななんて思う僕をよそに、気にも留めない様子で続いてTellが返ってきた。
「7.2極ブラインド攻略、人が集まればまたやろうかなと思うのですがいかがですか?」
穏やかな水面に石を投げ込まれて広がる波紋のように、僕の心は静かにそれでいて確かに波を打っていた。



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