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【FF14ファンフェス2026】紅き情熱を注ぐ蓮話 1:ピンバッジ【吉Pへの道】

エッセイ/日記(日常譚)

光の戦士の軌跡展で出会ったヒカセン達は、皆愛が迸ほとばしっていた。
過去に開催されたイベントで販売された、グッズや衣類を装備していたのだ。
もし次に参加できるイベントがあれば、僕もあれをやりたい!
そう思った僕は、ファンフェスに向けての準備を始めるのであった。

推し活

ファンフェス当日にピンバッジを付けて参加なんてできたら、最っ高に気分が上がる。
僕はピンバッジがかなり好きだからである。
FF14のピンバッジを付けてファンフェスに参加するというのは、お気に入りのアイスクリームをダブルで注文して、さらに期間限定品もダブルで頼んで良いと言われるようなものだ。
無論、赦しを頂けるならトリプルでもクワトロ(4段積み)でも良い。
(それくらいで幸せになれるなら毎日すればよかろうというツッコミも入るかと思うが、特別だから良いという部分もあるのだ。)

FF14の好きな所はとてもこの記事内では語り切れないので、ピンバッジの好きな所を少しだけ挙げさせてもらう。

自身の所属や主張を示すシンボルを、簡単かつ最低限で示せる機能美。
ピンと来ない方は、学生の校章や弁護士の方がジャケットの胸に着ける弁護士バッジ(弁護士記章)を思い浮かべて頂きたい。
親指の先ほどのサイズ感に対しての、重厚で高級感のある作り。
アンダーステイトメント、すなわち、さり気なく控えめな艶っぽさ、身に着けたときの”粋”である。
針があるのは少し怖いが、美しいものに棘があるのは相場だろう。

さり気なさを美点として挙げておきながら書いてしまうのは無粋だが、言わせてもらえば最高だ。

苦い思い出

思えば小さい頃から好きであった。
しかし、なにぶん子供にとってピンバッジは高い。
子どもが望んで簡単に手にできる代物ではなかったのである。
当時、ピンバッジはどんなに安いものでも最低500円はしたのだ。
僕は小さい頃、500円玉がカッコよくて好きだったので、その値段だけはよく覚えている。
計算などできなかったが、500円の価値だけは理解していた。
硬貨に刻まれた500と価格シールの500が一緒だと母が教えてくれたのだ。
(もっとも、計算は今でもできないのだが……。)

集めていたといっても、偶然貰ったものだ。
しかも三つか四つくらいの数えられる程度しか持っていなかった。
しかし、少ないからこそ僕には貴重だったのかもしれない。
しょっちゅう眺めていたし、引っ越し(他のものに付け替え)させたりするのが好きであった。

家族で買い物に出たとある週末。
まだ小学校に通い始めたくらいだったと記憶している。
いつもと違うことと言えば、僕が初めて自分のお財布を持って出掛けたということだ。

大人の手のひらサイズ。
真っ赤なトマトを模したキルト生地のお財布で、間の抜けた表情かおが何とも愛らしいお財布だ。
僕はこのお財布がお気に入りだった。
お金なんて一円も入っていなくても、出掛けるわけでなくても毎日ポッケに入れていた。

お気に入りのお財布に、お気に入り(全部)のピンバッジを引っ越しさせれば、世界で一番素敵なお財布が出来上がる。

そこにバーバからもらった五百円玉を一枚、百円玉を四枚に十円玉を何枚か。
僕の家のお小遣いは申告制だった。
友達と遊びにいくときに予算申請をして、母の審査に応じた額が都度、支給される仕組みだ。
だからこの五百円玉はいわばへそくりである。
他のお金を何故持っていたかは忘れたが、きっとおつりか何かを貯めていたのであろう。
僕はここぞとばかりに全財産をお財布に詰め込んで出かけたのだ。

近所の大型商業施設ショッピングモール。
母と姉が、食料品売り場で買い物をする。
父と僕は、仕事着を買うために衣料品売り場へ向かい、後で合流することになった。
今思えば、家族での買い物というひと時は、父と母にとってのアイスクリームだったのだろう。
だからこれは珍しい事だった。
父はウィンドウショッピングなどしない男である。
男の買い物の例に漏れず、一直線に必要なものの売り場へ進み、必要なものだけを買うというスタイルであった。
僕は父にくっついて、訳の分からない道具類の並んだ店に入る。
珍しいことは続くもので、父が何か買うものを迷っているようだった。
普段なら退屈の極みのような待ちの時間なのだが、ポッケには世界一のお財布があり、中には全財産が入っている。
訳の分からない道具でさえ輝いて見えた。
あ、コレは買えそう!とか、こっちは買えないかな……。とか、まだ500円以外の数字もロクに読めないのにそんなことを考えているだけで楽しいのだ。
お財布をポッケから出して、使いもしないのに何度も小銭をチャリチャリして重みを感じては戻した。
そしてポッケに仕舞っては、トマトを握り潰していた。

買い物を終えて、母らと合流するためにショッピングモール内を移動する。
遠くに母と姉を見つけた僕は、駆け出した。
走ると危ないぞと言う父を振り切り、勢いのまま母の足に抱き付くと、姉が僕に言った。
「何買ったの?」
楽しそうにしていた僕を見て、何を買ったのか興味が湧いたのだろう。
「なんもかってない!」
何も買っていないのに随分と楽しそうな僕を見て、姉は少し怪訝そうな顔をした。
「そんなこと言って、お財布失くしちゃったんじゃないの?」
少し意地悪そうに、そして少しからかいながら姉が続ける。
「あるもん」
そう言い返して、僕は右手に握りしめたお財布を姉に見せた。
が、僕は何も握っていなかった。
僕はいつの間にか、お財布を落っことしてしまっていたのだ。

あれ?と思いポッケをいくら探ってもない。
僕の輝いていた世界から、光が失われていく。
姉はまさか本当にお財布を失くしたなんて思っていなかったのか、少し決まりが悪そうにしていた。
僕は何も言わずに走ってきた場所を辿るように引き返しながら、トマトの赤を探した。
やっとの思いで佳境かきょうを迎えたRPGを、誰かがコードに足を引っかけて倒してしまい画面がフリーズしてしまった時の絶望感だった。

いくら探しても見つかるはずもなく、僕は思い出したように三人の顔を見た。
皆、かわいそうな子どもを見る目で僕を見ていた。
母には少しの慈しみがあって、父には諦めと応援のような父性が漂い、姉は面倒くさそうにしていた。
僕は現実が飲み込めておらず、泣きも喚きもしなかった。
その代わりに、三人の表情が怖かった。
三人だけがもうお財布が戻ってこないことを理解わかっていて、僕はそれを信じられなかったからだと思う。保存されていたハズのデータは、僕の願いもむなしく消えていたのだ。
喪失感そうしつかんという闇が、小さい僕のからだをすぐに満たした。
滔々とうとうと流れだす純粋な闇の分だけ、僕の目から涙が溢こぼれた。

その後、僕は父と一緒にお財布を探した。
父は、「男がいつまでもメソメソ泣いてるな」と僕に言った。
父なりの励ましの言葉だったのだと思うが、僕はその言葉にいっそう悲しくなった。
泣きたい時に泣けもしないのなら、女の子の方がよかったと思った。
これは僕が女々しい理由のひとつだろう。

家に帰ると、姉はよほど気まずかったのだろう。
普段はどんなにお願いしても絶対にくれたりしないのに、ベビースターの長めのやつを一本僕にくれた。
お陰で僕は元気を取り戻した。

結局お財布は見つからず、ピンバッジも無くなった。
僕はピンバッジを好きだったことも、お財布を失くした記憶も丸ごと消し去った。

当日に向けて

月日は流れ、光の戦士の軌跡展でピンバッジが配布されたことで、僕はピンバッジが好きだったことを思い出した。好きなら集めてもいいじゃん!ということで、ピンバッジを少しずつ蒐集することにしたのだ。

今回のファンフェスでも、ピンバッジが配布される。
当日配布のピンバッジを付けるのも良いが、欲を言えば”準備してきましたよ感”を出したいのが本音である。
ジャケットにさり気なくピンバッジをつければ完璧。
準備してきたものを控えめに見せるのが、コレすなわち大人の余裕である。

僕は早速e-storeを開き、さり気なく愛を主張させることのできるピンバッジを探す。
欲しいものは沢山あるが、全てを手にすることはできない。
僕は三つのピンバッジを候補として選んだ。

ひとつはトンベリのピンバッジ。
大都会トンベリ民の僕にはピッタリである。
そして、超える力のバフピンバッジと被ダメ上昇7デバフのピンバッジ。
被ダメ上昇の方が僕らしくはあるが、超えチカこそヒカセンたる所属でありシンボルである。

大人になってもグッズは良いお値段であるが、ここまで絞ったらあとは当日の気分と直感で選びたい。
僕は思い切って三つとも注文するのであった。

そして後日

注文したピンバッジが届いた。

トンベリが明らかにでかいwww
このサイズ感でさり気なくは無理だwww
生きるの下手くそ安定すぎて楽しくなってくるwww

でもやっぱりピンバッジはイイなぁ~。
サイズ表記はよ~く確認しないといかんと思いつつも、どうせ見てもわからん事に気付き、いいかと開き直る。

しかし、冷静になって深く考えてみる。

持ってないわ。ジャケット。

いよいよ楽しくなってきたw
大人は余裕なのである。

エッセイ/日記(日常譚)
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貴重な時間を割いて、見てくれてありがとうございます。このブログがあなたの一助になれば幸いです。願いが力になるエオルゼアの片隅で、あなたの健康と平穏を願っています。このご縁とFF14開発陣に感謝を。© SQUARE ENIX

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