【FF14ファンフェス2026】白銀の探究者【吉Pへの道】

エッセイ/日記(日常譚)
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二日目。

昨晩は、ソフィアが取ってくれていたホテル近くで三人で食事をした。
二人のお陰で持ち直し楽しい時間を過ごせたが、ホテルの部屋で一人になると、寝不足なのにロクに眠れなかった。

初日の情報を元に作戦を立てる。
ゆっくりでもいいだろうとの判断で、遅くはないが早くもない時間に出発。

結果から言うと見込みが甘かった。
どこも長蛇の列になっており、目当てのアトラクションには並ぶことすらできない。
僕たちは絶望のまま休憩席でライブ映像を眺めていたが、途中でダンシンググリーンの待機列が増設され、並ぶことができた。

この待機列で、カイゲさんは多くの方に声を掛けられシールを交換していた。
僕も便乗し、リアルでヒカセンと交流ができたことが嬉しかった。

僕は「灼熱」デバフでも纏っているのだろうか。
一切声を掛けられなかった。
カイゲさんがいなかったら、70枚の名刺は1枚も減ることはなかっただろう。

待機列で時間があるのだから、もっと会話をすればよかったのだが、会話となると言葉に詰まる。
何のコンテンツが好きかとか、新ジョブやりますかとか、少しでも考えておけばいくらでも聞くことが出来ただろうに。

僕が会話ができないのは、会話する準備が足りないんだなと思った。
準備が足りないのは会話だけではないが、今まで人見知りという言葉を都合よく使ってきたということに気が付いた。

二日間しかないのに、人見知りなんてしてる場合ではない。
手にしたいものがあるのなら、楽しみたいのなら、勇気をもって自分から一歩を踏み出さなければならない。
そうは思っても、急にここで一歩を踏み出せるわけではなかった。

ソフィアはというと、おたおたとする僕をニヤニヤ眺めたり、名刺を差し出す僕を後方腕組みおじさんとなって見るなどしていた。

ちなみに肝心のダンシンググリーンはカイゲさんのスコアが断トツで高く、次いでソフィア。
僕はさらに1000くらい低いスコアだった。
体を動かすのは苦手ではないと思うのだが、上には上がいるものである。
僕たちはRide the Rhythm の曲に洗脳されたまま、ダンスフロアを後にした。

昼食後、ミラプリコンテストを見るべくステージへ向かうも、座席は既に一杯だった。
SPライブの為に皆良い席を確保し、座っているのだった。
またもカイゲさんのホークアイのお陰でエーテライト側の席を確保できた。

ミラプリコンテストリアル部門は見ていてとても楽しかった。
ちなみに僕のインゲーム部門の応募作は残らなかった。
残念ではあるが、残った作品はどれも素晴らしい作品だった。/clap

続く直樹の部屋。
今をときめく人気のトップ配信者さんたちとのトークライブだ。

トークライブは、間違いなく面白かった。
ただ、吉田さんと話すには、それだけの人物になって縁が無ければ実現しないことなんだと思った。
途端に自分の書いた記事の無知が、恥ずかしくなった。
あのステージに座っている人々は、配信でお金を稼げる前の時代から配信をしている。
選択と集中を重ね、僕とは違う濃度で時間を過ごしてきたのだ。

もちろん、運良くお会いできることもあるだろう。
しかし、今の僕は圧倒的に準備が足らない。
有名人になりたいわけではないけれど、もう少しやれたことがあったんじゃないかな。
だから今はまだ、会えなくていいし、たぶん会わない方が良い。

恥ずかしさが、情熱に変わっていく。
確かに遠い。見えない。
でも画面の向こうじゃない。地続きだ。
恥ずかしくても進めよ、いばらの道でも歩けよ。
新しい、夢なんだろ。
人見知りなんてしている時間は、たぶんないよ。
きっとこの覚悟をさせてもらうために、僕は今日ここにいるんだ。


THE PRIMALSによるSPライブは”聞く”というよりは”体験”だった。

祖堅さんの煽りに浮かされて、大声を出す。
現代社会で生きていると、大声を出す機会なんてそうそうない。
声をあげるって、気持ちいい。連続キルで取る、強高揚バトルハイって感じだ。
次々と曲が進んで会場のボルテージも上がっていく。

『Scream』 ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編2層~
高揚した僕は、昨日までの鬱々とした感情を吐き出すように、腹から声をあげた。
どこにも行けずに淀んでいた感情が、急に弾ける。
あの頃の怒りに似た感情が爆発して、心が勝手に叫び出した。

どうにもできないよ!もう!
あの瞬間に戻れるなら、Enterキーを押すよ!

心の叫びを、力いっぱい拳に込めて突き上げる。
どうせ届かないのなら、せめて精一杯喚かせて。

『Not Afraid』 ~至天の座アルカディア:クルーザー級3層~
言葉は彼を傷つけ苦しめた。
吐いた言葉はやがて自分に還り、過去を思い出しては僕を苦しめている。

もし、極彩色の檻の中に入れるのなら、自分の胸倉を掴んで言う。
それを口にしたら、お前は友達を失うぞって。
でも、消したい過去の残像には触れられない。

リズムに乗せて首を振る。
感情が関係を台無しにしてしまった傷跡ごと、僕の中を暴れまわった。
突き上げていた手で、顔を拭った。

『ライズ』 ~機工城アレキサンダー:天動編 4層~
時間停止ギミック。過去改変してえよ。
そんな過去、誰にだってあるよな。

『過重圧殺!』~蛮神タイタン討滅戦~
タイタン!いっそ、押しつぶして、吹き飛ばして欲しいよ。

あっという間に時間が過ぎて最後の曲、『smile』。
心も体も、もう空になっていた。

真っ暗な会場に、東雲色の照明が差す。
一歩一歩を踏みしめるように、光がゆっくりと動く。
エーテライト席の斜め横からみるステージ側の景色。
黄赤色が煌めいて、光の届かない深海にまで光芒が降り注いでいるみたいだった。

視線を奪われる。
歌に合わせて客席のペンライトの黄色い灯りが、寄せては返す。
光の戦士たちが、灯したまあるい金色の光がピアスに見えた。

今、意こころで何を思えるか。
それこそが、僕がヒカセンでいられるかどうかではないかと直感した。
光の戦士たちに背中を押された僕は、左耳の形見に触れて、心でつぶやく。

おじいちゃん。
頼ってばかりでごめん。
これからは、大切にしたいものは、自分でちゃんと大切にする。

他人任せに願うだけで、自分のできることをしなかった。
自尊心なんて、さっさと捨ててしまえばよかった。

友人の一人も大切にできなかった僕に、何ができるのかなって思うよ。

だけど……。

だからここで諦めて、顛倒てんどうしてしまうのか。
だからこそ立ち上がって、歩き始めるのか。そのくらいは選べるはずだ。
いや、僕にはきっとそれくらいしかできない。

もう、取り戻せない友情なのかもしれないけれど、失くしたことをちゃんと抱え続ける。

だから、見てて。
ちょっと不機嫌で、面倒そうに眉を寄せた目つきで、見てて。

これからの出逢いと、今僕の周りにいてくれる人たちに感謝して、大切にする。
何度も謝りながら、何度でも感謝しながら、一歩一歩を歩くよ。

だから、どうか幸せでいてください。

会場の光の戦士たちに降り注ぐ天使の梯子に、僕はただそれだけを祈っていた。


結局、僕は吉田さんに会い、感謝を直接伝えることができなかった。
それでも、ファンフェスに来てよかった。

ここで諦めてしまうのは簡単だけれど、もう少し頑張ってみようと思う。
笑われるかもしれないけれど、別にいい。失敗するかもしれないけれど、それでもいい。
ちなみに、何を頑張れば感謝を伝えられるのかは、まだわかっていない。

自分の思い描いていたことが起こらないことは、きっと問題じゃない。
問題は、自分の気持ちに嘘をつくこと、自分の気持ちを伝えられなかったことを後悔し続けることだ。

結局、僕は書いた。
物語ではないけれど、ファンフェスの体験を書く上でどうしても避けられないほど思考を割いていたからだ。
しかし、これが良いのか、悪いのか。

どっちかというと自分の愚かな過去は書きたくないし、書いて楽になりたいとも思わない。
僕自身、吹っ切れるわけでもなく、歩き出す覚悟は決まっても、どこへ歩き出せばいいものか。

正直、わからない。
でも、僕たちは光の戦士だから、超える力を胸に、歩いてみようと思う。

陽の当たらない場所を、歩き出す。
足跡もない白銀を、後悔に凍えながら、彷徨さまよい続ける。
傷ついて探しながら、間違えて学びながら、今はただ、当てもなく、歩き続ける。


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