午後、場所は大阪へ戻り僕はなんばにいた。
元ヒカセンのSさんと合流し、周辺を案内してもらい観劇する予定である。
Sさんとはフロントライン(PvP)をしたり、固定を組んで共に零式レイド(FF14の難関コンテンツのひとつ)攻略をした。エオルゼアから飛び出して、流行りのFPSをしたり、線路を作ったりしたこともある。
リアルでは初めましてだが、散々遊んでいるので人見知りのプロである僕でも案内をお願いすることができたのだ。
合流前、ちょうど青木松風庵さんの月化粧が焼きあがっていた。
変わらず甘い物は控えているが、焼き立てなら仕方がないし、一個だけなら控えている内に入るだろうということで、Sさんと僕の分一個ずつ購入した。
そしてSさんと合流し、挨拶もそこそこに月化粧をキメながら色々と案内してもらう。
月化粧は見た目通り、味の全てに優しさと丸みがあった。
紙袋を開けると香る芳ばしい匂いは、もうすでに美味い。
生地はしっとりしているのに微か~にサク感がある。
白いんげん、ミルク、練乳とバター(推定)の融合と調和が半端ない。多分みんなコミュ強で会話が多いのに話せるだけじゃなくて聞けもするタイプ。
一生食えます。
そしてわなかさんのたこ焼きは間違いなかった。
なんといってもまずは大玉のインパクト。そして外カリッ中トロっからの出汁の優しい旨味じゅわ~。
火傷しながら食べてもよし。少し冷ましても美味しいのがズルい。
4種の味が楽しめるミックスが観光の僕には嬉しい。
一生食えます。
名所的な所を案内してもらっていると良き時間となり、待望のなんばグランド花月へ向かった。

笑いの殿堂
僕はてっきり関西に住む方々は、総じて漏れなく吉本新喜劇を生で見ていると思っていた。
実はそうではないらしく、Sさんも生で見たことは無いとのことだったので、ご一緒してくれた。
今回の旅でフェルメールの真珠の耳飾りの少女か、吉本新喜劇のすち子、どちらを見に来たのかと聞かれるのが一番困るのである。
僕には美術のことは分からないが、すち子が真珠の耳飾りをしてたらフェルメールもすち子を描いたかもしれない。
14時の開場に合わせるようになんばグランド花月に到着。
平日でも結構な人で賑わっている。
それもそのはず、最高すぎるこの布陣を見て欲しい。

人の波に身を任せながら、Sさんと二人並んで二階席へと上がっていく。
開場後すぐにも関わらず、空席はほとんどない。
そしてわずかの空席も、時間経過とともに埋まり満席になった。
初めに言っておきたいのは、全員最っ高に面白かった。
静かな掴みから始まり、少しずつ劇場が温まっていく。
コンビは掛け合いひとつで笑いを満たし、ピン芸人さんは会場とともに笑いを創る。
アッという間のトリ出番、劇場内は笑いの真っ只中であった。
そして僕が特に響いたのが、トリであるオール阪神・巨人さんだった。
この舞台に立つまでにどれだけのものを積み上げてきたか、立ち続けるためにどれだけのものを磨いてきたのか、僕には計り知れないが、並大抵のことではなかったであろうことは察しが付く。
なのにも”拘わらず”なのか、”だからこそ”なのか、僕にはわからないが、それぞれが舞台に立って漫才できることを楽しんでいた。
特にオール巨人さんから受けた衝撃には、気付きが多かった。
M-1グランプリの審査員の印象が強く、芸に真摯に向き合ってきたからこその厳しさを前面に感じていた。無論、優しさがあるのはわかる。
しかしその優しさも、ものさしの目盛りが細かいからこそ、君たちはもっといけるぞ、まだ磨けるぞと、背中を叩いて叱咤するような信じて突き放す類の優しさであるように感じていた。
立ち方、表情、動作、言葉選びにイントネーション、つぶさに観察できる所作の一つひとつが芸人だった。欲しいところに欲しい分のボケやツッコミをオール阪神さんが持ってきてくれる信頼はもはや呼吸だ。かと思えば、互いに互いの要求を超え合っていくと思われる応酬が始まり、挑戦し追及し続ける姿勢には心動かされずにはいられなかった。
出演者が作ってきた空気すら楽しんでいる。
流れに身を任せているのに、決して流されてはいない。
キッチリしているのに、堅苦しくない。
矛盾する何かを芸で成立させて、腑に落されていく。
そしてその中には、漫才ができる喜びとか感謝みたいな柔和で無垢な感情が滲んでいる。
“芸能”とか”芸人”というものを、教えて頂いたような気がした。
そして、個人的に好きなのは金属バットのお二人。
生で見れて良かったw
どん兵衛好きすぎて公式に捕まるのまじで好きw
「どん兵衛どろぼう」事件を知らない方はこちらから展開(AIによる要約)
お笑いコンビ・金属バットの友保隼平が、『M-1グランプリ』の準決勝控え室に置かれていた日清食品のどん兵衛を毎年大量に持ち帰っていた裏話・事件のことです。
- 背景:M-1の控室には出場者向けにどん兵衛が大量に用意されています。金属バットの友保が毎年段ボールごと大量に持ち帰っている姿が、スタッフやカメラに目撃されていました。
- 騒動(ネタ化)の内容:ある年は68個、またある年は巨大なバルーンを持ち帰るなどエスカレート。これがファンの間で「どん兵衛どろぼう」として知られるようになりました。
- 結末:のちにこのエピソードが日清食品公認となり、2023年9月には金属バットを起用した実際のCM「どん兵衛どろぼう反省ダンス」篇が制作・公開されるというハッピーエンド(公式コラボ)を迎えました。
下記リンクは金属バットさん公式YouTubeチャンネル、金属バット無問題より
M-1グランプリ2022準決勝で起こった「どん兵衛騒動」について【金属バット】
関東の方はもしかしたら金属バットでピンと来なくても、この顔をみたらピンと来る人もいるのではないだろうか。ちなみに二人は掴まり既に北の大地で罪を償っている。
そして新喜劇。
いつも通りのベタな人情モノだが、それがまた良い。
即興がかなり多くて、振りをされた方は困りながらもチャレンジしていく姿勢がすごくよかった。
すち子に逆にアンタ少しは断りなさいとツッコミを入れられていたくらいである。
生で見ていると稽古の積み重ねが顕著で、特に山田花子さんはものすごい丁寧で基本に忠実。
基礎の積み重ねの量が半端ないのではないかと思った。テレビではわからなかったけれど、相当に気真面目なのかもしれない。
挑戦し、積み重ね続けること。
笑いながら生きていくためには、もしかしたらそんな姿勢が要るのかもしれない。
難しいことがあっても、笑い話にできる心と、共に笑ってくれる人が周囲に居てくれる環境が必要なのかもしれない。
大団円を迎える中、僕はそんなことを考えていた。
吉本新喜劇。
物語の”型”は決まっているのに、そこから溢れ出る人間味が僕の心を掴んで離してくれない。
ほんだしの幕が引け、満員御礼の劇場を満足という感情の乗った拍手が包む。
人間味という魅力に中てられ、僕は心地いい余韻の中にいた。
「いや~、良すぎるなぁ」
Sさんの一言に我に返って目を遣ると、Sさんの顔は満足げな笑みで満たされている。
気が付けば拍手は止んでおり、人々がざわめきと共に出口に向かって列を作っていた。
「最高すぎたあ」
僕は余韻の残る脳内のダイヤルを、少しずつ現実に戻しながら同意した。
そして感想から会話が始まって、僕たちも列の一部になった。
こうなると、他の方々も生で見たいなとどうしても思ってしまって、内場勝則さん、未知やすえさん、島田珠代さん、名探偵コナンの元太君川畑泰史さん、辺りも見ておきたい。
そんな欲を密かに抱きながら、階段を降りると、外は雨が降り出していた。
part 2 にて感じた、晴れの予感とは一体……。
さっきまで劇場に居た人々の笑顔が、傘になって咲いていく。
僕たちも傘を差し、二つの傘を並べてなんばグランド花月を後にするのであった。



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